中国上海 Ethereum’s DevCon2-Day1 プログラム
2016年9月中旬に中国上海の外灘(バンド)で開催された Devcon2(Ethereum’s DevoCon2)について、ある勉強会にて報告する機会をいただいたため整理します。 最初にカンファレンスのイントロ部分の youtube ビデオがあがっていたのでご紹介。
また現状や今後の ethereum(イサリアム)について意識するとカンファレンスをより理解しやすいと考えて補足しました。
- 次世代ウェブにブロックチェーンを活用した基盤に置き換える展望と段階的ステップ(WEB3)
- PoW から へのPoS 移行を視野に入れたネットワークおよびインフラの技術改革。
- the DAO ハッキング事件からの広範囲なセキュリティ意識の強まり。
プログラム第1日目のテーマは「Research」。Devcon2( Ethereum’s DevoCon2 )プログラム第1日目のセッションおよび概要説明を以下に整理しました。ただ日程毎のプログラム(テーマ)によって、厳密に個別セッションが区分されているのではなく、比較的自由な順序で配置されていたと思います。和訳した文章には間違いや勘違いを含む可能性があります。
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01 | パネルディスカッション: Panel: Welcome & Introduction |
Ming Chan Vitalik Buterin Dr.Christian Reitwiessner Alex Van de Sande Jeff Wilcke Peter Szilagyi Martin Becze |
No. | タイトル | 発表者 | 資料 | ビデオ |
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02 | 分散型アプリ開発のための法律への配慮 Regulatory Considerations for Dapp Development |
Peter Van Valkenburgh Ming Chan |
米国政府の連邦通信委員会では仮想通貨は有価証券として扱われ、トークンのプリセールスあるいは分散型アプリケーション開発は、法律や潜在的なリスクなどトラブルになる可能性があります。ワシントンD.C.に拠点を置くCoinCenter (米国コインセンター)には危険を回避して安全を保つためのノウハウがあるようです。
No. | タイトル | 発表者 | リンク |
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03 | 25分で理解するイサリアム Ethereum in 25 Minutes |
Vitalik Buterin |
なぜ ethereum (イサリアム)を開発したのか。多様かつ複雑になるプロジェクトを推進するためにも、独特な特徴を持つブロックチェーンを開発者の視点から分かりやすく説明します。
No. | タイトル | 発表者 | ビデオ |
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04 | パネルディスカッション: 進化するEVM(Ethereum Virtual Machine) Panel: Evolving the EVM |
Dr.Greg Colvin Martin Becze Pawel Bylica Dr.Christian Reitwiessner Alex Beregszaszi |
進化する EVM(Ethereum Virtual Machine)について一般的な意見交換。
No. | タイトル | 発表者 | 資料 | ビデオ |
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05 | スマートコントラクト研究調査の方向性 Directions in Smart Contract Research: A Selection |
Philip Daian from IC3 |
金銭的な利益を得るため、悪意あるハッカーはバグを悪用する可能性がある。形式仕様および検証を用いた「try and mitigate」。多くのイサリアム研究は今、この手法に移行しつつある。予期せぬバグへの接触を保護するために、エスケープパッチを使用して欲しい。バグ報奨金も獲得できるかも知れません。
No. | タイトル | 発表者 | 資料 | ビデオ |
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06 | SWARM におけるインセンティブシステム Swap, Swear and Swindle. Swarm Incentivisation |
Viktor Tron Dr.Aron Fischer |
ethereum ブロックチェーンにデータを保管することは禁則的な状態にありますが、Swarm プロトコルを利用して BitTorrent と同様に Peer to Peer でファイル共有できます。どのようにファイルを格納するシステムなのかか、どのように人々がそれを使うのか、そして、なぜそれがネットワーク未来の鍵になるのかを説明します。
SWARM – Serverless Hosting Incentivised Peer-to-Peer Storage and Content Distribution
Ethereum’s ‘Holy Trinity’ Takes Shape As Swarm Testnet Arrives – Coindesk
No. | タイトル | 発表者 | 資料 | ビデオ |
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07 | EVMにへ悲鳴をあげさせる Making the EVM scream |
Dr. Greg Colvin |
より高いパフォーマンスを得るため、いくつかの変数の型などを調整、その結果、より高速なベンチマークを示した。以前のブログ記事と同内容ながら、より高速なパフォーマンスを求める。
No. | タイトル | 発表者 | 資料 | ビデオ |
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08 | ライデン・ネットワーク Raiden network |
Heiko Hees Founder & CEO at brainbot technologies |
ライデン・ネットワークは現在プロトタイプのみ動作中。実際に利用できれば、瞬時の取引が可能になり、取引コストを下げて、トランザクションにおけるプライバシーの保護に役立ちます。次の目標は、オフチェーンの分散型アプリ開発のための一般的なフレームワークを構築すること。IOTシナリオのデモ有り。
No. | タイトル | 発表者 | 資料 | ビデオ |
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09 | TruBit:ブロックチェーンをだましてみよう TrueBit: Trying to Fool a Blockchain |
Dr. Christian Reitwiessner |
イサリアムは素晴らしさにチューリング完全がある。ただブロックチェーンチェーン上で計算を行う料金が高い場合、それをセキュアに行うにはどうすれば良い? ここではコンセプトの証明を作成する「検証ゲーム」を用い、誰かが結果を提出し、誰かが挑戦することができる。しかしながら、正直な人は常に勝つ。
No. | タイトル | 発表者 | 資料 | ビデオ |
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10 | Web3 インフラについて Towards Web3 Infrastructure |
Viktor Tron |
ethereum ブロックチェーン上におけるキラーアプリは何でしょうか。Swarm は Peer to Peer ネットワークでファイル共有を実現しますが、まるで IPFSを再開発しているように感じます。Wisper はクールなメッセージングシステムであり、ストリーミングビデオコンテンツにも利用できます。
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11 | States channels: アプリケーションを実践的にする States channels. Making your application practical |
Jeff Coleman |
「State channnels」の明快で分かりやすい説明をします。どのように動作するか理解していない場合は、ぜひ見てみてください。
No. | タイトル | 発表者 | 資料 |
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12 | Parity クライアントのローンチ Parity’s Launch |
TJ Saw |
Ethcore 社が開発する Parity と名づけた ethereum クライアントのインターフェイスを披露する。Parity は Mist ウォレットをローカルに置いたように多くの機能を備えているように見える。
Ethcore – Ethcore is creator of the Parity
No. | タイトル | 発表者 | 資料 |
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13 | イサリアムは Web アセンブリが大好き Ethereum loves Web assembly |
Martin Becze Alex Beregszaszi |
EVM(Ethereum Virtual Machine) はイサリアムの中核であり、その成長の過程において、いくつかもの紆余曲折があった。Web アセンブリ技術を使用して、それを書き換える場合、大幅にブラウザ内のエンジン実行を向上できる。
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14 | Casper プロトコル A Correct-by-Construction Asynchronous Casper Protocol |
Vlad Zamfir |
Proof-of-work から Proof-of-Stake に移行するビジョンとネットワーク検証とが、現在イサリアムの中心にあるのはほぼ間違いない。2015年に発表された Casper プロトコルは、PoSの検証で歴史的な問題の解決を約束しつつも、そのロードマップに疑問符を残す。ここで密室で進む開発者のプロセスに光をあてて見る。
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15 | プログラム言語 Ruby 上でのイサリアム Ethereum on Ruby |
Jan Xie |
プログラミング言語 Ruby で書かれた EVM。teth(Testing & Deployment Framework for Smart Contract)と呼ぶ、テスト用フレームワークを書きした。それはメモリ内でテスト実行できることを意味しています。複数のアクターを登場させて、複雑な相互作用をするテストを書いてみましょう。
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16 | Zcash はイサリアムを愛している(^^? Zcash loves ethereum |
Zooko Wilcox |
新しい仮想通貨である Zcash はプライベート間の取引を実現する。この発表では Zcash がパブリックなブロックチェーンにプライベート取引を追加する仕組み、および Zcash とイサリアムが共に成長する Zero-knowledge proofs を使用する仕組みを説明する。
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17 | スマートコントラクトの行動タイピング Behavioral Types for Smart Contracts |
Lucius Greg Meredith from Synereo |
Synereo で利用されている Rholangは、行動タイピング機能を含むブロックチェーンベースのソーシャルコントラクト言語。プラグイン可能なコンポーネントについて、フォーマル検証システムを支援し、大幅にコストを削減できる。
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18 | リソース制限があるデバイスのためのイサリアム Ethereum for Resource-Limited Devices |
Bob Summerwill |
携帯電話・ウェアラブル端末などリソース制限のあるデバイスでイサリアムを使用。複数の進捗状況を示すスレッドが要件を低減します。RPI model A 上で実行する。
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19 | 様相論理に基づくL4 契約プログラミング言語設計 Designs for the L4 Contract Programming Language Based on Deontic Modal Logic |
Dr.Virgil Griffith Vikram Verma |
オープンソースプロジェクトで進む DSL(Domain-Specific-Language)開発は、正式に弁護士が確認したコントラクトとして イギリス法律用語の PDF に編集されている。予備情報として既に実際の弁護士に利用されている。
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20 | Mauve(モーブ)レボリューション The Mauve Revolution |
Vitalik Buterin from Ethereum Foundation |
現在イサリアムは遅いことに加えて拡張(スケール)できません。Proof-of-Work に対し多くの電力を消費する。ハードウェアと電気に多く費やす物理マイニングより、仮想鉱山に $1000 を使う仮想マイニング、 Casper スマートコントラクトを利用しよう。
Ethereum’s Creator Proves Blockchain Scaling Vision is No Joke – Coindesk
No. | タイトル | 発表者 | 資料 | ビデオ |
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21 | State Channels: Systemic Security Considerations and Solutions | Joseph Poonw |
セッション数は1日だけで20以上と盛りだくさん。他カンファレンス参加者と全セッションを集中して聞くのはかなり厳しく、来年のカンファレンスでその進歩が激しさゆえ大きく内容が変わっていたら怖いとも話しました。主要なセッションを選ぶには、定評ある仮想通貨ニュースサイト coindesk の次の記事が参考になっています。
参照リンク